角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA 他
全国順次公開
原題:¡Viva Maestro!
2022年 / アメリカ / 103分
字幕:山口三平
スペイン語字幕協力:Juan Mateo Revilla / Walter Fabián Gutbezahl / 岡野恭介
配給:ディスクユニオン 劇場営業:トリプルアップ
調和して、連帯して、思いやりを持てるようになるための音楽の重要性を、この映画は教えてくれます
――亀田誠治(音楽プロデューサー)
音楽で子どもたちを救う、そんな夢を追うドゥダメルの足元で祖国ベネズエラが分裂していく。オケも政府に弾圧され、奏者も国を捨てていく。『ロミオとジュリエット』に彼の苦悩が滲み、ベートーヴェンの「第九」に希望が込められる。
――町山智浩(映画評論家)
ベネズエラから世界へ、みるみるうちに羽搏いたグスターボ・ドゥダメル。リハーサルやコンサート、オーケストラ・メンバーとのちょっとした会話、カメラにむかっての語り、といったさまざまな側面をとおして、音と音の、音を発する人と人との結びつきの、生まれてくる音楽の力、魅力が浮き彫りになる。だが、この指揮者を育てたエル・システマという運動は、ベネズエラの社会・政治状況のなかで、不安定な状態にある。映画はドゥダメルをとおして、音楽というもの、藝術というもののありかた、意味を問い掛けてくる。この列島は、じぶんたちは無関係ではすませられないものが、ここにある。
――小沼純一(音楽・文化批評家、詩人)
「音楽は政治を超越する」といった台詞が、世界の現実を前にいかに空疎なものであるか。それでも人間が音楽を奏で続けることが、いかに大切かつ必要か。紛争によって国を追われたもの、それでも国に残ったもの、そして子供や若者たちが、ともに音楽を作ることの意味。彼ら・彼女たちの音を引き出し、昇華させ、聴衆に届けるマエストロの役割。それらが、ドゥダメルの葛藤や決意を通して切実に描かれている。
――吉原真里
(アメリカ文化研究者、ハワイ大学・東京大学教授、
『親愛なるレニー: レナード・バーンスタインと戦後日本の物語』著者)
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ABOUT THIS MOVIE
この映画について
第18回難民映画祭 初上映作品
来たる2026年、ラテン系指揮者で初のニューヨーク・フィルハーモニックの音楽監督就任が決定しているグスターボ・ドゥダメル
21世紀のクラシック界に彗星のごとく登場し全世界を魅了するベネズエラの若き指揮者の栄光と苦悩そして挑戦に密着したドキュメンタリー
1981年1月26日ベネズエラに生まれ、10代の頃から天才指揮者として名だたる巨匠たちの薫陶を受けてきたドゥダメルは、2004年「第1回グスタフ・マーラー国際指揮者コンクール」優勝、2009年に弱冠28歳で名門ロサンゼルス・フィルハーモニックの音楽監督に就任。たちまちクラシック界で注目を集めると共に、『TIME』誌が選ぶ「世界で最も影響力のある100人」にも選出。特に母国の若手音楽家から成るシモン・ボリバル・ユースオーケストラを率いたレナード・バーンスタイン作「マンボ」のエネルギーに満ちた演奏動画は世界中で拡散され大ブレイク、2016年にはコールドプレイ、ビヨンセ、ブルーノ・マーズと共にスーパーボウルのハーフタイムショウに出演。本作は、そんなジャンルの枠を超えスターへの階段を駆け上がり続ける、クラシック界の新ヒーローの物語―――となるはずであった。
しかし撮影中に予想外の事態が起こる。2017年、政治的混迷を極めるベネズエラの反政府デモに参加した未来ある若き音楽家が殺害された事態を受け、ドゥダメルは現マドゥロ政権への訴えをNYタイムズ紙に展開。大統領府と対立したことで、シモン・ボリバル響とのツアーが中止にさせられ、祖国へ足を踏み入れることすらも禁じられてしまう。さらに、ベネズエラを代表する音楽教育プログラム「エル・システマ」の責任者の立場からそれまで政治的に沈黙していたドゥダメルは、世論の批判にも同時にさらされることになる。ベネズエラで撮影ができなくなった映画製作クルーも路線変更を余儀なくされた。しかし、祖国の子供達と交わした「いつか必ずまた指揮をしに行く」という約束を守る為、ドゥダメルは世界各地でタクトで語り続ける。その最中、2018年3月24日に偉大なる恩師、「エル・システマ」創設者マエストロ・ホセ・アントニオ・アブレウが死去。その志を未来へと受け継ぐ使命を果たすべく、ドゥダメルの挑戦は続く。
情熱がほとばしる各オーケストラのリハーサル風景の裏側やコンサート演奏も多数収録。『デューン/砂の惑星』でのアカデミー賞ほか幾多の音響賞の受賞歴を誇るロン・バートレットがミキサーを務めるオーケストラサウンドも必聴だ。
主演:グスターボ・ドゥダメル
監督:テッド・ブラウン[2023年全米脚本家組合賞(WGA)長編ドキュメンタリー部門ノミネート]
劇中曲:ベートーベン『交響曲第5番』『交響曲第9番』/プロコフィエフ『ロミオとジュリエット』/ドヴォルザーク『新世界』/アルトゥーロ・マルケス『ダンソン第2番』『ダンソン第9番』/チャイコフスキー『交響曲第4番』 ほか
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